【Internet投票の未来】

マジで提出したレポートです。

 アメリカの「TIME」という雑誌の「Person of the Year」と言う企画を知っているだろうか。
この「Person of the Year」というのは毎年、米TIME誌が毎年行っているもので、その年に一番話題になった人、一番存在感のあった人がTIME誌の表紙を飾るという企画である。
ちなみに過去のPerson of the Year は、1996年David Ho、1997年Andy Grove、1998年Ken Starr & Bill Clinton、1999年Jeff Bezos、2000年G.W. Bush、という結果になっている。
 2001年も12月24日発売号の表紙をPerson of the Yearになった人が飾った。
だが、この2001年のPerson of the Year決定の裏には今までにはない選考の混乱があったのだ。
その中には民衆の批判などもあり、私達も良く知っているアノ日本人までもが巻き込まれていたのである。
このレポートではPerson of the Yearの掻き消された裏側とそれに関連するインターネットの世界を私なりにまとめてみた。

 ではまず、Person of the Yearの選考基準について簡単に説明しておこう。
選考基準は"... the person or persons who most affected the news or our lives, for good or for ill this year."で、これを日本語に訳すと「今年、良くも悪くも、ニュースや私達の生活において、最も影響を与えた人か人達」となるので、基本的には世界を震撼させたような人ならば誰にでもなる可能性はあるのである。
 そして2001年のPerson of the YearはTIME誌の独自選考だけでなくインターネットを通しての公開投票が行われたのである。
このインターネット投票は投票フォームの空白内に人名をタイプして入力する仕組みを採用しており,あらかじめノミネートされた人物から選ぶ方式ではなかった。
そのため、後々の混乱を招くこととなったのである。

 まず2001年にニュースで「最も影響を与えた」のは何なのかを思い出してみると良いだろう。
政治関連ならば1月20日にアメリカで第43代大統領に就任したブッシュ大統領は8年ぶりの共和党政権、アダムズ親子以来の父子二代であるということが上げられるだろう。
スポーツ関連なら11月20に米大リーグ、アメリカンリーグ・マリナーズのイチロー外野手が日本人として初めてリーグ最優秀選手(MVP)に選ばれ、新人王とのダブル受賞というメジャー史上2人目の快挙を成し遂げた。
 事故・災害関連で書くなら、2月9日にはハワイ・オアフ島沖で愛媛県立宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」が、米原子力潜水艦「グリーンビル」に衝突され、沈没した。
アフガニスタンでは3月14日にバーミヤンの仏教遺跡が爆破された。
それに関連して、アメリカでは9月11日に同時多発テロがあり、その史上最悪のニュースは一瞬にして世界中を駆け巡ったのである。

 この出来事を思い出してみると誰の名前が思い出されるのであろうか。
大半の人は1月20日に就任したジョージ・ブッシュ大統領か同時多発テロの首謀者といわれているオサマ・ビン・ラディンを思い出したのではないだろうか。
だが、この二人、どちらが選ばれてもTIME誌にとって好ましい結果ではなかったのである。
 なぜなら、ブッシュ大統領は昨年2000年のPerson of the Yearであり2年連続での受賞となってしまう。
一方のビン・ラディンはアメリカ人にとって最も恨むべき「悪人」であり、彼を選べばTIME誌の売上に影響が出ることも懸念されていたようである。
このため、TIME誌側はテロの影響で被害を受け、再建に努力していたニューヨークのジュリアーニ市長も考えていたらしい。

 そんな最中、2001年のPerson of the Yearを巡る状況を知った日本人がある「冗談」を始めた。
その日本人は某巨大掲示板「2ちゃんねる」で「Masashi Tashiroを2001年のPerson of the Yearにしよう」と呼びかけ、それを見た人がインターネットを通じてMasashi Tashiroに投票したのである。
ちなみに2001年、タレントの田代まさしは覗き、盗撮、覚醒剤でトリプル逮捕されて国際的には「エロリスト」として話題になった人である。
関連WEBSITE(http://www.zakzak.co.jp/top/t-2001_12/2t2001122201.html)も作られており、動画 フラッシュ(http://homepage2.nifty.com/madhatter/katayoku.swf)もある。

 多くのサイトの中でも有数のアクセス数を持つ掲示板に賛同された田代まさしはこうして急激に票を伸ばしていくことになったのである
あっという間にそれまで2位についていたブッシュ大統領を抜き、大敵、ビン・ラディンをも抜き、見事1位となったのである。
最終的に田代まさしに対する得票は8万を超え、得票率も3割強となり、インターネットの投票を見る限りでは堂々の1位であった。

 ふざけ過ぎ、冗談が行き過ぎているとの声もあるが、「冗談投票」と思われるものは何もMasashi Tashiroだけではない。
5位に入っている「Pope Hadrian VII」(ローマ教皇ハドリアヌス7世)は実在しない上に8位の「Nomar Garciaparra」は2000年のア・リーグ首位打者を獲得したメジャーリーガーだが2001年は大きな活躍はなかったという。
極めつけに10位には「Jesus of Nazareth」キリストが入っているのである。

 しかし、この結果を見たTIME誌の編集者はさすがに焦ったらしく投票終了の予定を繰り上げてサイトを閉鎖し、1位だったはずのMasashi Tashiroのみを削除して1位はOsama bin Ladenと発表したため、2001年のPerson of the YearはテロリストOsama bin Ladenになり2001年12月24日発売のTIME誌の表紙を飾ることとなった。
常識的に考えれば妥当な判断ではあるが、ビン・ラディンがTIME誌の表紙を飾ることは望まれた結果だったのであろうか。
 アメリカ人から見てビン・ラディンはTIME誌の表紙に載ってほしい人ではないだろう。
ビン・ラディンに投票した人全員がタリバンの味方というのも考えにくいし、TIME誌はアメリカの雑誌なのだからアメリカ人が多く投票していると考えるのが妥当である。
では、なぜ選ばれてしまったのか。
と、考えた時にこれも一種のJokeだと考えることはできないだろうか。
 インターネットには他のメディアに比べて一般大衆からの意見を取り入れやすいという長所がある。
だが、今回のTIME誌の判断は投票結果を無視する形となってしまっていることは一般大衆に意見を聞き入れる努力を怠っているとも取れるのである。
もし、本当にインターネット上の投票を参考にしたいのならTIME誌側も最初からノミネート者リストを作るなどの工夫が必要だったであろう。
 そして、インターネットでは真面目に物事を考えている人ばかりではないことも前提にしていくべきである。
冗談やJokeを反映させるかどうかは別として、全く考慮せずにインターネット投票を行ってもそのデータは信用の置けるものではないのである。
だがそれを否定的な意味で取るのではなく、一般大衆からのメディアに対しての最高のJokeだと受け取るべきであろう。

 このような現象はTIME誌の場合のように有名な情報メディアに限ったことではない。
最近は個人運営のサイトであっても配布cgiやレンタルサイトを使って手軽にインターネット投票所を設置することができ、実際に設置してあるサイトも良く見かける。
そのように個人で設置した場合であってもインターネットの投票には「冗談」がつきまとうものだのである。
 偉人投票を行っていた某サイトではSMAPの稲垣吾郎が駐車違反をした際に婦人警官に車をぶつけたという事件が遭ってから稲垣吾郎の票が急激に伸びていた。
また、別のサイトでは不正投票という手段によって自分の応援している人を上位になるように得票数を増やしている人もいたらしい。

 多くの人に見て投票してもらうことは人気投票という意味ではとても大切なことである。
だが、その信頼性、正確性を求めるならばインターネットという相手の見えない世界での公開投票は意味を持たないこともあることを頭にいれておくべきである。
こうしたインターネットの特性を活かせるならば今後もアンケートや投票の手段として広く使われるだろうし、使うことが望ましい。
しかし、活かせないのであれば大規模な投票は減っていき、個人の趣味程度のものがその多くを占める事になっていくであろう。

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